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「社内SEが楽」という論調を否定したい。

ネットでは、「社内SEが楽」という記事に溢れているので、この記事では、その論調に異を唱えたいと思います。

社内SEを5年経験し、その後、上場企業3社で人事を経験してきました。

確かに、SES(客先常駐)と比べると一見楽に見えるかもしれませんし、それは、総じて事実だと思います。

ただ、単純に「社内SEは楽」「社内SEは勝ち組」みたいな記事に踊らされるのもどうなの?と思うので、この記事では、これまでの経験にもとづいて、社内SEは楽勝、っていう誤解を解いていきたいと思います。

社内SEが楽だと勘違いされる理由

社内SEが楽だと思われる理由はいくつかありますが、これらは実際の仕事内容を正しく理解していないからこそ生じる誤解です。

以下に、よくある誤解とその真実を紹介します。

  1. ベンダーやSESに丸投げしているんでしょ?
  2. 要は、社内のシステム関係のヘルプデスクなんでしょ?
  3. 外部顧客の対応が少ないから余裕でしょ?
  4. ストレスほぼないでしょ?社内だし。
  5. ほぼ定時で帰れるんでしょ?

①ベンダーやSESに丸投げしているんでしょ?

これは、見方によるけど、ちょっと本当です(苦笑い

社内SEの主な業務は社内のユーザーと要件定義を行い、それをベンダーや協力会社に発注・ディレクションすることがメインになりがちです。

これを「丸投げ」と言われれば、そうなのかもしれないです。

ただ、だから楽、というのは短絡的かなと。

そうはいっても、社内的に発注責任があるわけで、プロジェクトの管理を行い、ベンダーとのコミュニケーションや調整が必要です。

ユーザーとSier・SESとの間に入って、板挟みに合うこともよくあるので、そこそこストレスはかかります。

②要は、社内のシステム関係のヘルプデスクなんでしょ?

そんなわけないでしょう…

単なるヘルプデスクだとしたら、情シがあんなに大所帯になるわけないじゃないですか。

システムの運用・保守、セキュリティ管理、新しいシステムの導入など、多岐にわたる業務をこなさなければなりません。

③外部顧客の対応が少ないから余裕でしょ?

いやいや、内部のユーザー部門とのやり取りの方がストレスかかることが多いんですよ。

社内だけに、無理言ってくる奴も多いですから。

(社外だったら、遠慮というか、配慮があるかもしれませんが、社内である分、無茶を言ってくる輩がいっぱいいるわけです)

④ストレスほぼないでしょ?社内だし。

そんなわけないでしょ…

社内システムが止まったりしたら、どれだけ大騒ぎになるんですか?っていう時代ですよ。

人事部門に来て分かりましたが、情シ部門のメンタル罹患率は相対的に高いです。

営業の方が、メンタル罹患率は圧倒的に低いです。

(まぁ、これは、営業に進んだ人たちのキャラクターのせいかもしれませんが)

⑤ほぼ定時で帰れるんでしょ?

これは、会社や担当業務によりますね。

ただ、全体的にインフラ周りの情シは、勤務が不規則になりがちです。システムのアップデートやメンテナンスが夜間や週末に行われることも多いからです。

なので、社内SE=定時帰りっていうのは、妄想だと思います。

社内SEに対するネガティブイメージ

あと、社内SEに対するネガティブイメージってあると思います。

主なものは次のようなものかなと。

  1. 技術的なスキルアップがしづらい
  2. キャリアアップ(転職)しづらい
  3. 給料が上がりづらい

まぁ、当たっているところもあれば、違うよ、っていうところもあります。

①技術的なスキルアップがしづらい

これは、SIerに比べれば、当たっていると思います。

(繰り返しになりますが)社内SEの主な業務は社内ユーザーと要件定義を行い、それをベンダーや協力会社に発注・ディレクションすることがメインになりがちです。

なので、要件定義とベンダー管理、運用保守、予算管理と発注業務などの社内手続きに詳しくなりがちなんですよね。

    社内SEとしての立場だと、技術面での深い知識や新しい技術の習得には限界があると思います。

    (もちろん、内製化が進んでいるような情シであれば、そんなことないです)

    ②キャリアアップ(転職)しづらい

    これは、キャリアアップしづらい、というよりも、「転職しようと思う人が少ない」っていうことなのかな、という印象です。

    IT業界の中では、割と安定して働ける仕事なので、あえてキャリアアップにチャレンジする必要がないというか。

    やっぱり、SIerやSESに比べれば、ワークライフバランスも安定していますしね。

    ただ、社内SEから社内SEに転職する人は、そこそこいます。

    ③給料が上がりづらい

    これは、かなり違うと思います。

    日本の会社は、まだまだ年功序列の色が強いので、勤続年数の長い社内SEの年収はかなり高くなると思います。

    たしかに、営業部門で圧倒的な実績を残して、高い賞与を得たり、すごいスピードで昇進していく、っていうことはないですけど。

    他の管理部門(経理や人事など)と比べて、情シの昇給・昇格が遅い、と言う会社は聞いたことがありません。

    なので、給料が上がりやすいかは、勤務している会社の業界次第だと思います。

    もし、そういう会社に勤めているなら、普通に転職した方が良いです。今ドキ、社内の情シの位置付けを低くしているような会社は、先も暗いと思いますので。

    今の職場が合わないなら

    社内SEとして働いていて、「思ったよりも楽じゃない」と感じるなら、一度、別の職場を検討するのはありだと思います。

    ただ、一般的に、社内SEからSIerに転職するのは、けっこう危ないと思います。別記事に詳しく書いたので、ぜひご一読を。

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    社内SEが楽かというと、それはまったく違うと思います。

    ただ、IT業界というくくりの中では、いちばんストレスが少な目で、ワークライフバランスが取れる働き方だとは思います。

    なので、今の職場がしんどければ、別の会社の社内SEへの転職も考えちゃえばよいと思います。良い職場はたくさんあるので。