この記事では、「今の仕事の残業が多いから転職活動をしているけど、それを面接でどう説明しようか…」という悩みに終止符を打ちたいと思います。
よく、「退職理由を面接で伝える際には、ポジティブで建設的な表現を使うことが重要です。特に【残業が多い】という理由を面接官にそのまま伝えると、ネガティブな印象を与えかねません。」と言われます。
が、「残業が多いっていうことをポジティブに伝えられるわけないだろ。」というのが正直なところではないでしょうか。
現役の上場企業の人事課長ハルオが、面接で残業時間について触れるべき理由や面接での伝え方のポイントを紹介します。
この記事を読むことで、「残業が多い」という転職理由を、面接官に嫌な印象を与えることく説明することができるようになるでしょう。
例文も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
転職理由「残業が多い」を説明しづらい理由
そもそも、面接の際に転職理由を「前職で残業が多かったから」と伝えるのを躊躇する人は多いです。
残業が多かったことを説明しづらい理由を紹介します。
ネガティブな印象を与えるリスクがあるから
残業時間が多いことを退職理由にすると、面接官にネガティブな印象を与えるリスクがあると考える人は多いです。
伝え方を間違えると、以下のような印象を与えてしまいます。
- 仕事へのモチベーションが低い
- 問題解決能力や適応力に欠ける
- 転職先での適応力に疑問を持たれる
たとえ残業が多いという理由が転職に対する正当な理由であったとしても、新しい職場でどのように貢献したいか、自身のキャリア目標がどのように一致するかをアピールするのが難しくなります。
ネガティブな印象を与えるリスクを避ける対策が必要です。
現職(前職)への不満を避けたいから
基本的には、現職への過度な不満を面接で伝えることはNGです。
現職の不満ばかりを伝えてしまうと、面接官としても「ウチに入社しても、同じように不満を募らせて退職するのでは?」と思ってしまいます。
一方で、現職にまったく不満がないのであれば、転職活動に踏み切らないだろうというのも面接官が思うところです。
ですから、過度な不満を述べるのはNGですが、現職の残業時間の多さについて、よい塩梅(あんばい)で面接官に説明することは必要です。
残業が多い基準がわからないから
多くの人が気になるのが、残業が多いと言える目安時間です。
月に5時間の残業でも多いと感じる人もいれば、月に80時間の残業でも平気な人もいます。月に〇〇時間の残業が多かったと説明して、面接官に共感してもらえるのかはわからないため、不安に思う人が多いです。
一概に、〇〇時間だから残業が多いとは言えませんが「残業が多い」の基準となる指標はあります。
日本では、労働者の健康を守るために残業に関する規制が設けられています。残業時間の上限は、月45時間または年間360時間です。
特別な事情の場合、条件を満たせば月45時間または年間360時間以上の残業も可能ですが、基本的には月45時間が目安です。
残業時間の上限時間に近い、月30時間以上であれば、面接を担当する人事にも「前職は残業が多かった」と理解を得やすいです。残業の上限時間を目安にしてください。
ある程度、残業時間のことを面接で触れるべき。
「残業が多い」という転職理由は、ネガティブな印象を与えるリスクもありますが、正直に面接官に伝えた方が良い内容でもあります。なぜなら、転職における面接は企業との相性を見る場でもあるからです。
よくある勘違いが、「残業時間が多いことを退職理由にすると、わがままな奴だ、と思われそうだから、触れない方がいいだろう。」というもの。
そもそも、残業時間の多さを理由に転職するのですから、ある程度のワークライフバランスが取れる仕事をしたいことを考えて戦略を練る必要があります。
転職先も残業が多かったら、元も子もないわけですから。
そうはいっても、「単純に残業時間の多さだけで転職する」、と面接で伝えてしまうと、ストレス耐性や粘り強さがない、と判断される可能性があります。
まさに、そのバランスの見極めが必要です。
そこで、私がオススメするのは、実際の数字(具体的な残業時間)を伝えたうえで、理由を伝える、という話法です。
「どういうこと?」と思うかもしれませんが、次の章で、例文を挙げます。
「残業が多い」は数字+理由で伝える。
面接官に残業が多い状況を退職理由にしていると伝える場合、数字+理由という組み立てで説明すると効果的です。
まず、本当に残業時間が多いのであれば、その実際の数字を伝えることが効果的です。
例えば、次のようなかんじです。
- 「36(サブロク)協定」の限界である月45時間をギリギリ守っている状況が続いている
- 月45時間を超える月がしばしばある
- 勤務時間の入力を誤魔化さなければならない
人事の面接官は「36協定」や「月45時間」を熟知していますので、そのような具体的な数字を伝えることで事情を察してくれるでしょう。
もし、面接官が、「その程度の残業であれば、繁忙期であれば、当社でもあるのですが…」といった感じで問われた場合は、その会社は自分に合わないと判断し、選考を辞退すればPKです。
次に、「どんな職場を求めているか」の理由を説明しましょう。
例えば、以下のような言い換えが効果的です:
- 健康管理の重視したい:「健康を維持しながら長期的に働ける環境を重視しています。」
- 持続可能な働き方を実現したい:「持続可能な働き方を実現するため、より適した職場を探しています。」
- 効率的な働き方を重視したい:「効率的で生産性の高い働き方を実現できる環境を求めています。」
- 時間管理と仕事の質の向上を目指したい:「時間を有効に活用し、仕事の質を高めることができる職場を探しています。」
なお、個人的には、「ワークライフバランスを取れる職場」というワードは、あまり使わない方がよいかなと思います。面接官によっては、仕事への意欲がない人、と判断する人もいるからです。
具体的な例文はこんな感じです。
「現職では、時期を問わずに恒常的な残業が続く状況です。サブロク協定の限界である45時間を超えることもしばしばあります。
このような状況で5年間働いてきましたが、やはり、長期的なキャリアを考え、健康を維持しながら長期的に働ける環境で仕事をしたいと思っています。」
「今の職場は、私を含め、多くのメンバーが月45時間をギリギリ守っている状況が続いています。また、本当はいけないことですが、勤務時間の入力を誤魔化さなければならないこともあります。
このような状況で3年間働いてきましたが、将来を考えると、持続可能な働き方ができる職場で、スキルアップをめざしたく、転職活動を始めました。」
このように伝えたうえで、現職への感謝も伝えるべきでしょう。
「このような厳しい職場ではありますが、タフな業務を通じて、スキルアップができましたし、少々のことでは逃げ出さないようになれました。」
みたいな感じです。
まとめ
実際に人事の仕事をしていて、数多くの面接をしてきましたが、「残業が多い」という理由で退職することは、よくあることです。
また、人手不足の時代なので、より良い環境を求めて転職することができる時代になっています。
面接で、現職の不満ばかりを伝えるのはオススメしませんが、面接官は、現職の退職理由は気になるポイントです。
数字+理由、という組み立てでしっかり伝えれば、面接官も理解してくれることがほとんどですので、この記事の例文を参考に面接に臨んでもらえればと思います。
最後に、おすすめの転職サイト・エージェントの一覧を下記の記事に整理したので、ぜひ読んでみてください。