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【例文付き面接対策】SESから社内SEに転職キャリアビジョンを説得力を持って説明する方法

SESから社内SEへの面接対策で、もっともやっかいなのが、キャリアビジョン(キャリアプラン)に対する回答の準備ではないでしょうか。

正直、SESがしんどくて社内SEへの転職を考えている人も多いので、「入社後のキャリアビジョンを教えてください」なんて聞かれても困るとは思うんですよね。

ただ、SESから社内SEに転職する場合、キャリアビジョンを明確に説明する鉄則があります。

この記事ではSESから社内SEに転職する際、無理なく自分のキャリアビジョンを作成し、面接官に説得力を持って伝える方法を紹介します。「SESを辞めたい」という思いを、どのようにポジティブなキャリアビジョンに変えていけばいいのか、具体例を交えて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

面接官がキャリアビジョンを質問する意図とは?

面接官が応募者にキャリアビジョン(キャリアプラン)を尋ねるのは、「スキルセットとポジションのマッチ度合い」以外に見極めたいポイントがあるからです。

面接官の意図を理解しておくと、「正解」が見えてきます。

ちなみに、「キャリアビジョン」「キャリアプラン」というキーワードを使わない変則パターンもあります。

  • 「当社でどんな役割を果たしたいですか?」
  • 「入社後の目標は何ですか?」
  • 「5年後、10年後にどのようなポジションで活躍したいと思いますか?」

こうした質問は、実質的にキャリアビジョンを尋ねているのと同じです。

面接する立場としては、次の3点を確認するためにこの質問をしています。

1. 長期的に働く覚悟があるかを見極めるため

社内SEは、SESのようにプロジェクトごとに異なる環境で働くのではなく、長期的に自社のシステムを運用・管理していく役割です。

そのため、面接官は応募者が自社にどのように長期的に貢献できるかを見極めようとしています。

キャリアビジョンを質問することで、「この人は、将来どのように成長し、会社にとってどんな価値を提供するのか」を確認したいと思っています。

2. 会社のニーズにマッチしているかを見極めるため

会社ごとにIT環境やシステム運用の方針は異なります。

面接官は、あなたが会社のニーズに合ったキャリアビジョンを持っているかを確認しています。

例えば、インフラ系に強みがある会社であれば、インフラ関連のビジョンを持っている人材が求められます。

自分の経験やスキルが、会社のビジョンや目標にどう貢献できるかを理解しているかをチェックする意図があります。

3. 主体的な成長意欲を測るため

キャリアビジョンは、ただ「将来どうなりたいか」だけでなく、自己成長に対する意欲をアピールする機会でもあります。

面接官は、あなたが単に与えられた仕事をこなすだけでなく、主体的にスキルを伸ばし、会社とともに成長していく意志があるかを見ています。

SESが合わなくて社内SEに転職したいという気持ちも、キャリアビジョンとしてうまく説明できれば、ポジティブな成長意欲と捉えられます。

SESと社内SEのキャリアの違い

社内SEとしてのキャリアビジョンを明確にする前に、「SESと社内SEでは築けるキャリアが根本的に違う」ということを知っておいてください。

SESは、毎回異なるクライアント先で多様なプロジェクトに関わることが求められます。新しい技術に触れる機会が多く、プロジェクトごとに異なる業務に取り組むため、幅広い技術スキルを磨くことができる一方で、常に変わる環境に適応し続ける必要があるのが特徴です。

一方で、社内SEは、自社内のITシステムやインフラの運用・管理に長期的に関わるポジションです。SESのように短期的なプロジェクトで結果を出すのではなく、企業全体の成長を支えるために、長期間にわたってシステムの安定性や最適化に貢献することが求められます。これは、技術的なスキルだけでなく、自社のビジネスや業務プロセスへの深い理解が必要です。

まとめると、下記のとおりです。

社内SEのキャリアの特徴

会社の成長を長期的に支える役割
自社システムの運用・管理に携わり、長期的な視点でIT環境を整備し、業務効率の向上やビジネス戦略の実現をサポートします。
長期的な視点で取り組める環境
SESのようにプロジェクトごとに働く環境が変わることは少なく、一貫した業務に携わることができるため、システムの最適化や安定性の向上に長期的に取り組むことができます。
深いビジネス理解が必要
自社の業務やビジネスプロセスへの理解が重要であり、技術的な知識に加えて、経営戦略や業務改善への貢献が求められます。もっと踏み込むと、「社内のお作法」にも詳しくなっていかなければならないです。

SESは新しい環境で自分を試したり、柔軟に様々な技術を学ぶことができますが、社内SEは自社に長く貢献しながら、深く専門的なスキルを磨きたいという人に向いているキャリアです。

また、SESから社内SEへの転職を目指す場合、これまでの多様な経験を活かしながらも、自社に長期的にどのように貢献できるかをアピールすることが重要です。

SESの経験+社内SEとして生きる覚悟を表明する

SESから社内SEに転職する際のキャリアビジョンの鉄則は、

「これまでのSESの経験を活かしつつ、社内SEとしては○○の領域で活躍していきたいです。」

という構文でキャリアビジョンを作ることです。

文章の前半で過去の経験に触れつつ、そこから、社内SEとしてキャリアを重ねていく覚悟を意思表明する、というイメージです。

「SESの経験」にまず触れる

社内SEで活かせるSESの経験は、インフラ系とアプリ系の2つに大別されます。

「SESで培ったコミュニケーション能力」とかは使わない方がベターです。

インフラ系の経験をしてきた場合

SESとしてネットワークやサーバー管理などのインフラ関連業務に従事してきた場合、その知識と経験は社内SEとして大いに役立ちます。

社内インフラの構築は、社内SEの業務の中でも大きな割合を占めるからです。

「SESで得たネットワーク管理の経験を、自社のインフラ環境の安定化にどう活かすか」といった具体的なビジョンに繋げることがポイントです。

アプリ系の経験をしてきた場合

アプリケーション開発やシステム運用に強みがある場合、SESで培った技術を社内SEとしての業務にどう応用できるかを説明します。

たとえば、社内システムの最適化や業務アプリの効率化の経験をアピールするのが鉄板です。

社内SEとしてどう活躍していきたいかを述べる

SESで得た経験を踏まえ、自分のキャリアビジョンを面接で効果的に説明するためには、いくつかの重要なポイントがあります。

これらを意識してキャリアビジョンを語ることで、面接官に強い印象を与えることができます。

  • 自分がインフラ系かアプリ系のどちらかで専門性を高めたいかを明確にする
    社内SEの業務は広範囲にわたるので、自分がインフラ系またはアプリ系のどちらで専門性を高めていきたいかを述べましょう。基本的には、SESで経験してきた分野を伸ばしていきたい、というのがベターです。
  • 将来的にはリーダー・マネージャになりたいという成長意欲を示す
    そして、専門性を高めた後には、チームをまとめるリーダー・マネージャを目指したい、というのが鉄板です。
    社内SEは、職人的なキャリアよりも、チームをまとめていくようなキャリアを志向するのが一般的だからです。また、その方が自身の処遇水準を上げることができます。
    そのためには、一歩一歩着実に社内の信頼を得ていきたい、というようなフレーズも入れるのが効果的です。
  • 会社のニーズに合わせたキャリアビジョンにしていくことにも言及する
    社内SEに求められるのは、「課題解決型の思考」です。自身のキャリア志向だけでなく、社内のニーズを課題解決する、という姿勢を面接で伝えていくのがベストです。この例文は、後ほど紹介します。

効果的なキャリアビジョンの例文

では、いよいよ例文紹介です。

どの例文も、「これまでのSESの経験を活かしつつ、社内SEとしては○○の領域で活躍していきたいです。」という構文になっている点に着目してください。

例文1: インフラ系
「これまでSESとして、ネットワーク構築やサーバー管理に携わり、インフラの設計や運用を幅広く経験してきました。特に、ネットワークの最適化や障害対応に力を入れてきたことが、私の強みです。御社においては、関係部門との密なコミュニケーションを通じて、インフラ運用の安定化やセキュリティ強化に取り組みたいと考えています。社内のニーズを的確に捉え、信頼を得ながら、長期的にはクラウド環境の最適化やインフラ全体の戦略に貢献していきたいです。」

例文2: アプリケーション開発系
「SESとして、これまで多様な業界のクライアント向けに業務アプリケーションの設計、開発、運用を行ってきました。特に、既存システムの最適化や新規アプリケーションの導入に強みがあります。御社においては、関係部門との継続的なコミュニケーションを通じ、業務プロセスを深く理解しながら、システムの効率化や業務アプリの最適化に取り組みたいと考えています。こうして信頼関係を築き、最終的には開発チームをリードし、戦略的なIT活用を推進していきたいです。」

3つ目はちょっと例外的ですが、前者のIT戦略を担いたいパターンです。

例文3: IT戦略系
「SESとして、多様なクライアントの課題に向き合い、インフラの改善やアプリケーションの導入をサポートしてきました。今後は、社内SEとして、関係部門と密接に連携しながら、ITインフラや業務システムの課題解決に取り組みたいと考えています。コミュニケーションを通じて信頼を築き、システム運用の安定化やセキュリティ強化を進め、最終的にはIT戦略にも関与して、会社全体の成長を支えていきたいです。」

もちろん、これらは例文なので、ご自身のSESの経験と、募集ポジションの業務内容を踏まえて、ご自身でアレンジしてください。

キャリアビジョンのNG例

最後に、キャリアビジョン(キャリアプラン)のNGワードをお伝えしておきます。

1. 具体性が欠けているビジョン

「キャリアビジョンを教えてください」という質問に対し、「とにかく社内SEとして頑張りたいです」「会社の成長に貢献したいです」といった、抽象的な答えをしてしまうのはNGです。意欲は伝わりますが、具体的な行動計画や貢献方法が示されていないため、面接官にとって「どう貢献するのか」がイメージしづらくなります。

  • NG例:「とにかくIT業界で長く働きたいです。社内SEとして努力していきたいと思っています。」
  • 改善例:「インフラの安定化を図り、社内のIT環境を整えることで、業務効率を向上させたいと考えています。長期的にはインフラ全体の戦略設計にも携わりたいです。」

2. SESの不満だけを強調する

「SESの仕事が嫌だから社内SEになりたい」という不満だけを強調するのは避けましょう。転職理由がネガティブに偏ってしまうと、ポジティブな成長意欲が伝わりません。面接官は、あなたがどのようにして前向きなキャリアビジョンを描いているのかを知りたいのです。たとえSESに対して不満があっても、それをどう前向きに変換できるかを伝えることが重要です。

  • NG例:「SESはプロジェクトが多すぎて大変だったので、社内SEに転職したいです。」
  • 改善例:「SESで培った柔軟な対応力や技術力を、社内SEとして長期的に活かし、企業の成長を支えるポジションで貢献したいと考えています。」

3. 成長意欲が感じられないビジョン

面接官は、キャリアビジョンを通して成長意欲を確認しています。「現状維持で良い」「技術の幅を広げるつもりはない」といった発言はNGです。社内SEとしての専門性を高めながら、チームや会社にどのように貢献していきたいのか、将来的な成長計画を示すことが大切です。

  • NG例:「SESで十分な経験を積んだので、特にこれ以上学びたいことはありません。社内SEで安定して働きたいです。」
  • 改善例:「SESで培った技術をさらに深め、社内SEとしてインフラの安定運用を支えつつ、将来的にはチームをまとめるリーダーとして貢献していきたいです。」