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社内SEに転職する際に資格は必要か問題|採用担当が暴露

この記事では、これから社内SEに転職に転職する際に資格を取るべきか悩んでいる人に向けて書いています。

私は社内SEとして5年間、そしてその後15年間にわたり上場企業の人事部門で働いてきました。現在、人事課長として採用に携わる中で、数多くのSE応募者と面接をしてきました。その経験を踏まえ、社内SEに転職を考えている方に向けて、資格がどの程度重要なのか、そしてどのようなポイントが採用側に評価されるのかをお伝えしたいと思います。

ハルオ

これまで多くの社内SE希望者を面接し、採用してきました。

「年齢と経験」で8割決まる

まず初めに、社内SEとして転職を考える際に最も重要な要素、それは「実務経験」です。

私が人事として採用活動に携わる中で、数多くの応募者を見てきましたが、実務経験の豊富さが評価を左右する大きな要素となっています。

経験の重み
資格は確かに技術力を証明する一つの手段ですが、現場で培った経験こそが、本当に役立つスキルを養う場所です。たとえば、私の経験では、資格を持っているものの、実務でのトラブル対応やプロジェクト管理に慣れていない応募者よりも、資格はなくても現場で多くの問題を解決してきた人材の方が圧倒的に高く評価される傾向があります。

年齢と経験のバランス
さらに、転職市場では「年齢」と「経験」のバランスも重要です。特に、30代、40代の応募者に求められるのは、年齢に見合った経験の深さです。私が面接で重視するのは、その年齢でどれだけ多くのプロジェクトに携わり、どれだけの成果を上げてきたかという点です。「年齢の割に良い経験を積んでいる」という評価が得られると、それだけで選考の進展が大きく変わります。

そうはいっても、履歴書の資格欄は見る

次に、資格の重要性について触れたいと思います。確かに、資格はその人が一定のスキルを持っていることを証明するものです。そして、人事としては、応募者がどのような資格を持っているかを必ずチェックします。

資格の役割
IT業界では、資格を持っていることが「基礎的なスキルセット」を示す一つの指標となります。これは、採用プロセスの初期段階で、応募者が最低限の技術力を持っているかどうかを迅速に判断するために役立ちます。特に基本情報技術者試験などの基礎的な資格は、業界全体で広く認知されているため、持っていることで「足切り」を避けることができるというメリットがあります。

資格だけでは不十分
しかし、資格だけでは十分ではありません。私自身、採用においては「資格は持っているが実務経験が浅い」応募者に対しては慎重になります。資格が証明するのはあくまで知識レベルであり、実際の業務でその知識をどう活かしてきたかが重要だからです。

持っていれば評価される資格

それでは、どの資格を持っていると社内SEとしての転職に有利なのでしょうか。私の経験から言えば、以下の資格は一定の評価を得やすいです。

基本情報技術者試験
まず、基本情報技術者試験は、転職を目指す際に最低限持っておくべき資格です。この資格を持っていることで、応募書類の段階で不利になることを避けられます。特に、社内SEとしてのスタートを切る場合、この資格があれば「技術的な基礎力は持っている」という安心感を与えることができます。

応用情報技術者試験と高度情報処理試験
さらに、応用情報技術者試験や高度情報処理試験を持っていると、書類選考の段階でかなり有利になります。これらの資格を持っていることは、「自己研鑽を怠らない人」という印象を与え、採用担当者からの評価が高まるポイントとなります。特に、履歴書に応用情報や高度試験の合格を記載している場合、書類面接の通過率が格段に上がることは間違いありません。

業界によってもちょっと違う

社内SEとしての転職において、業界ごとの資格の重要性についても触れておくべきでしょう。特定の業界では、持っている資格が転職の成否を大きく左右することがあります。

金融業界やユーザー系Sierの厳しい要件
例えば、金融業界やユーザー系Sier(ニッセイ情報テクノロジーや東京海上日動システムズなど)では、情報処理技術者試験の資格が必須条件とされることが多いです。これらの業界では、システムの信頼性やセキュリティが非常に重要視されるため、資格を持っていることが採用条件となるケースが多々あります。このような企業に転職を希望する場合、資格の有無が合否に直結する可能性が高いと言えるでしょう。

メーカー系社内SEのケース
また、日系メーカー系の社内SEでも、情報処理技術者試験を持っていることが採用の際にプラスに働きます。特に、製造業やインフラ系の企業では、基幹システムの管理や社内のITインフラ整備において、一定の資格が求められることが多いです。このような環境で働く場合、資格を持っていることで、担当業務の信頼性を高めることができます。

持っていても意味がない資格もある

一方で、持っていてもあまり評価されない資格も存在します。私が人事の立場から見て、社内SEとしての転職においてあまり意味を持たない資格についても言及しておきます。

ITパスポートの評価
その代表例がITパスポートです。ITパスポートは、ITの基礎的な知識を証明する資格ですが、これは主にユーザー側の視点に立った内容であり、社内SEの職務に直接的に役立つものではありません。そのため、私が面接でITパスポートを持っていると聞いても、特に評価に影響を与えることは少ないです。むしろ、これよりも実務での経験を強調した方がはるかに効果的です。

ベンダー系資格について

最後に、LinuC、CCNA、CCNP、ORACLE MASTERといったベンダー系資格について触れます。これらの資格は、一見すると非常に価値が高そうに思えますが、実際には企業側のニーズに大きく依存します。

ベンダー系資格の実態
ベンダー系資格は、特定の技術や製品に特化した内容です。そのため、応募先の企業がそのベンダーの技術を採用している場合には非常に有用ですが、そうでない場合には評価されないこともあります。私が人事として見てきた中では、ベンダー系資格があるからといって採用の決め手になることは少なく、それよりも「どんなベンダーであっても、しっかりと学び、キャッチアップする能力」が重視される傾向にあります。

柔軟性とキャッチアップ能力の重要性
企業が求めるのは、特定の技術に偏った知識ではなく、変化の激しいIT業界で新しい技術に迅速に適応する能力です。ですから、ベンダー系資格を持っていることをアピールするよりも、学習意欲や適応力を強調する方が、転職活動においては有効であると感じます。