私は上場企業3社(金融機関→不動産→メーカー)で通算15年、人事マンとして数多くの社員の昇進を見てきました。
そこで感じたのは、昇進する人には共通点があるということ。特に40代で部長になる人たちには、明確な特徴があります。今回は、その特徴を整理して、「会社で昇進しやすい人」はどんな人なのかをお伝えしたいと思います。
会社員にとって、本部長や役員になるには、正直、運の要素も大きく関わってきます。しかし、部長までであれば、比較的実力がものを言う世界だな、と思っています。
つまり、本人の努力次第で十分に到達可能なポジションだ、というのが私の結論です。
実際に、私も「部長になった人の特徴」を意識したことで、日系メーカーとしては比較的早い年齢(38歳)で課長に昇進できました。部長への昇格を目指してがんばっています。
この記事では、人事マンから見た、40代で部長になる人に共通する「基本的な3つの特徴」と「実務能力」について紹介していきます。
基本的な3つの特徴
さて、40代で部長になるためには、どんな特徴が必要なんでしょうか?ここでは、人事マンの私が見てきた「昇進しやすい人」の基本的な特徴を紹介します。
- リーダーシップとコミュニケーション能力が優れている
- 報連相を怠らない
- 明るい、ポジティブ
①優れたリーダーシップとコミュニケーション能力
当たり前すぎるのですが、なんだかんだ、リーダーシップとコミュニケーション能力に優れている人が、早い年次で部長になっています。
リーダーシップの発揮は、ビジョンを言語化して、発信することから始まるんだと思います。
早期に部長になる人は、課長時代から、常にチームの目標や方向性を明確に言語化しています。「これが私たちの目標です。こうすれば達成できます」とはっきり伝え、チーム全体を同じ方向に導くイメージです。プロジェクトを進める際に、具体的なステップを示しながら全員をサポートする姿をよく目にします。
また、コミュニケーション能力は、突き詰めると、信頼関係を築く能力だと思います。
信頼される課長は、約束を守り、公平に対応しています。私が見てきた信頼される課長たちは、常にオープンで誠実な態度を持ち、どんな時でもチームメンバーの話に耳を傾けていました。このような信頼関係があると、メンバーは安心して自分の意見を述べ、チーム全体のコミュニケーションが円滑になります。
人事は、社員面談をすることもあるのですが、「課長のリーダーシップとコミュニケーション能力はすごい。」という声が出てくる課長は、すぐに部長になる傾向があります。
部下とのコミュニケーションについても、早期に部長になる人には共通点があります。
まず、明確な指示を出すこと。ある部長は、複雑なタスクでも分かりやすく説明し、メンバーが何をすべきかを理解しやすくしていました。これにより、ミスや誤解が減り、仕事がスムーズに進むチームを作っています。
さらに、傾聴力も重要です。早期に部長になる人は、メンバーの意見や提案をしっかり聞き、それを真剣に受け止めていますね。これがメンバーのモチベーション向上に繋がり、チーム全体のパフォーマンスが上がる結果をもたらしていました。
最後に、フィードバックも上手なこと。メンバーの仕事に対して建設的なフィードバックを行い、成長をサポートするのが上手です。メンバーがどんなに小さな成果でも必ず褒め、改善点については具体的なアドバイスを伝える人は、育成が上手だと思います。
②報連相(報告・連絡・相談)の徹底
あまりに基本的なことなのですが、報連相(報告・連絡・相談)が上手なことも、早期に部長になる人の特徴の一つです。
報連相が上手な人って、上司から信頼されるんですよね。特に、トラブルなどのネガティブな報告について、ポイントを的確に絞って、善後策も含めて、素早く報告する人は上司から信頼されています。
報連相が上手な人は、「こいつなら安心して仕事を任せられるな」という安心感につながり、重要な仕事が集まっていると思います。
③明るい、ポジティブ
早期に部長になる人にはポジティブで明るい人が多いという点も大きな特徴の一つだと思います。
ポジティブな人って、ちょっとシンドイ状況でも、前向きに解決策を見つけるですよね。そういう人は、周囲のメンバーから頼られます。
また、明るい性格の人は人間関係を構築するのが得意です。部下や同僚とのコミュニケーションがスムーズになり、信頼関係が築きやすくなります。これにより、チーム内での協力体制が強化され、効率的に業務を遂行しているな、と思います。
さらに、ポジティブな人はチャレンジ精神が旺盛で、新しいプロジェクトや業務にも積極的に取り組む姿勢を持っています。このような積極性は、上司や経営陣にも高く評価され、昇進のチャンスを掴むきっかけとなります。
実務的な3つのスキル
基本的な特徴を押さえたところで、次に重要なのが実務的なスキルです。実際の仕事でどうやって成果を出すか、ここが問われる部分ですね。では、部長になるために必要な実務的なスキルを見ていきましょう。
- 専門知識があることが社内認知されている
- プロジェクト管理能力が高い
- 社内コミュニケーションが上手い
①専門知識があることが社内認知されている
まず、速く昇進する人に共通しているのは、専門知識が社内で認知されていることです。
要は、「この業務だったら○○さん」というのが、社内の上層部にも認識されているということです。こういう人は、本当に強いです。
やっぱり、こういう人には、仕事が集まるんですよ。そして、それが成果になり、早期に部長になっていくな、と思います。
②プロジェクト管理能力が高い
次に、プロジェクト管理能力の高さです。プロジェクトを成功に導くためには、計画立案、進捗管理、リスク管理など、多岐にわたるスキルが必要です。
「○○さんに任せると、イマイチ、プロジェクトがうまく進まないよね。」っていう人は、社内にいると思いますが、やっぱり、そういう人は昇進が遅くなりがちです。
そして、ここで覚えておきたいのが「役員層が見て分かりやすいプロジェクトの実績」を持っているかどうかです。役員は多くの部門や業務を総合的に管理しています。そのため、彼らが見たときに「この人はこれだけの成果を上げている」と一目でわかる実績があると、昇進しやすくなります。シンプルで具体的な成果を示すことが、昇進のポイントになります。
③社内コミュニケーションが上手い
最後に、社内コミュニケーションの上手さです。言い換えると、人脈の構築能力です。
こういう人って、予算を取ってきたり、人を引っ張ってくるのが上手なんですよね。
部長になるためには、上司や同僚、さらには他部門のスタッフとも良好な関係を築くことが重要です。社内の様々な人々とのつながりを持つことで、必要な情報が早く入手できたり、協力を得やすくなります。
また、他部門の視点を取り入れることで、自分の業務の改善点が見つかったり、新しいアイデアが生まれることもあります。ネットワーキング能力は、単に知り合いが多いだけではなく、深い信頼関係を築くことが求められます。
生涯年収でみると、やはり早期に部長になるべき。
さて、ここからが気になるところですが、生涯年収の比較です。
45歳で部長になるのと、主任のまま定年を迎えるのでは、生涯年収がどれくらい違うのか?を試算してみたいと思います。
実際に私が勤務している会社(メーカー)の年収水準で試算します。
自分の会社だとどうなるかもざっくり計算してみてください。
まず、45歳で部長になった場合です。私の勤務している会社では部長の平均年収は1,500万円です。45~60歳を部長で過ごせたとしたら、1,500万×15年=2億2,500万円です。
一方で、主任のまま定年を迎えるとどうでしょうか。主任の平均年収は約800万円と仮定しましょう。主任職で45~60歳の15年を過ごすと、800万×15年=1億2000万円です。
2億2,500万円-1億2000万円ですから、45歳~60歳の15年だけで、1億円以上の差になるんですよね。
もちろん、45歳より前の差もあるので、生涯年収で言うともっと差が開きます。
また、会社の制度にもよりますが、定年後再雇用の条件も最終的な職位や年収を基準に決められることが多いです。つまり、部長で定年を迎えるのと主任で定年を迎えるのでは、定年後の収入にも大きな差が生じます。
あと、このような試算をして痛感するのは、処遇の高い業界・会社を選ぶことの重要性です。年収がすべてとはまったく思いませんが、「稼ぐことは正義」だと思います。
まとめ
この記事では、40代で部長に昇進するために必要な特徴とスキルについて解説しました。
優れたリーダーシップやコミュニケーション能力、報連相の徹底、ポジティブな性格が昇進の鍵となります。さらに、専門知識の社内認知やプロジェクト管理能力、社内コミュニケーションの巧みさが重要な実務スキルとして挙げられます。
早期に部長になることで、生涯年収に大きな差が生じることが示されています。あなたもこれらのポイントを意識してキャリアアップを目指してみてください。
部長昇格を目指す皆さんに幸あれ。