この記事では、SEから人事に転職を狙っている人に向けて、狙い目のルートを解説していきます。
近年、人事の業務においても、IT活用を進める動きが加速し、デジタル変革を推進するためにIT知識を持つ人材のニーズが高まっています。
実際に、上場企業で人事として働いている私の職場でも、SEからの転職希望者を複数名採用しています。彼らはその専門知識を活かし、人事システムの導入やデータ分析による戦略立案などで大いに貢献しています。
また、私も5年のSE経験を経て人事にキャリアチェンジしています。
SEから人事への転職を検討する理由は様々ですが、主な動機としては、「SEという業務への適性が自分にはないかな」とか「ワークライフバランスを改善したいな」という、少し後ろ向きな気持ちもあるかもしれませんが、大丈夫です。
企業の人事部はSEとしての経験を求めているので、キャリアチェンジをしたい、という理由だけで十分です。
ただ、SEから人事を目指す際には、「人事業務にはどんなものがあるのか」を理解し、「自分はこの分野の業務でキャリアアップしたい」というのをしっかり言語化しないと、なかなか選考に通らないと思います。
この記事では、SEから人事に転職する際の狙い目ルートと志望理由の作り方を解説していきます。
人事にはどんな仕事があるかを理解する
企業の人事には、主に次の8つの領域の仕事があります。
- 人材戦略の立案:全社の人材戦略を企画する業務。
- 採用・リクルーティング:新しい人材を見つけて採用する業務。
- 人材育成・研修:社員のスキルアップを図るための研修を企画・実施する業務。
- 処遇(評価・報酬)制度企画:社員の評価や報酬制度を設計する業務。
- 労務管理:社員の勤怠管理や労働環境の整備を行う業務。
- 人材配置と異動管理:社員の配置や異動を管理する業務。
- ダイバーシティ&インクルージョン:多様性を尊重し、包容力のある職場を作る業務。
- ペイロール(給与支払い、社会保険事務):給与の支払いや社会保険の手続きを行う業務。
どうしても、人事の仕事で目立つのは、採用なんですよね。
だから、SEの方が人事の業務に応募すると、「採用をやりたい」って言いがちなんです。しかし、それは、企業側からすると、あまりニーズないので、やめといた方がいいです。
ここを理解しないと、なかなか転職活動はうまくいかないと思います。
SEの経験を活かせる人事業務は、①人材戦略の立案、④処遇制度企画、⑤人材配置と異動管理、⑧ペイロールです。
次の章で詳しく解説していきます。
SEの経験を活かせる人事業務
企業の人事部がSE経験者に期待することは主に下記2点です。
- IT知識を活かした業務効率化
- データ分析の力を活かした戦略立案
「この2点に貢献できます、していきたいです!」と面接官に伝えると、「この人は、人事の仕事が分かっているな。」と思われるわけです。
この点を理解したうえで、SEの経験を活かせる人事業務についての知識を付けることが、SEから人事への転職の第一歩です。
①IT知識を活かした業務効率化
「IT知識を活かした業務効率化」が特に求められるのは、下記3つの領域です。
- 労務管理:勤怠管理システムの導入と改善
- SEのシステム設計や運用管理のスキルを活かし、労務管理のデジタル化を推進します。勤怠管理システムの導入や既存システムの改善により、業務の効率化と正確性の向上が期待できます。
- 人材配置と異動管理:人事システムの最適化
- SEとしてのプロジェクト管理能力を活かし、人材配置や異動管理を効率的に行うシステムを構築・最適化します。これにより、社内リソースの最適配置が可能となり、業務の生産性が向上します。
- ペイロール:給与計算システムの効率化
- SEのプログラミングやシステム運用の知識を活かし、給与計算システムの自動化や効率化を図ります。これにより、給与計算の正確性とスピードが向上し、ミスを減らすことができます。
これらの業務は、通常は、人事システム(Company、カオナビ、Workday…たくさんあります)を用いて処理されます。
これらのシステムのセットアップや活用推進の立場を狙って入社するのは、一つの狙い目です。
②データ分析の力を活かした戦略立案
データ分析のスキルは、人事戦略の立案や評価制度の設計において非常に有用です。以下の業務でそのスキルを活かすことができます。
人材戦略の立案:データ分析による人材戦略の最適化
- SEとしてのデータ解析スキルを活かし、社員のパフォーマンスデータや市場動向データを分析します。その結果を基に、最適な人材戦略を立案し、企業の競争力を高めることができます。
処遇(評価・報酬)制度企画:データに基づく評価制度の構築
- データドリブンのアプローチで、社員の評価や報酬制度を設計します。SEのデータベース管理や統計分析のスキルを活かし、透明性と公平性のある評価制度を構築することで、社員のモチベーション向上と定着率の改善を図ります。
これらの業務にチャレンジする場合には、Pythonくらいは使えてほしいな、とは思います。
これらの業務にチャレンジする場合には、Pythonくらいは使えてほしいな、とは思います。
上記のように、SEの知識・経験が活きる人事領域業務は、限られています。
やみくもに人事に転職したい、というのではなく、「SEの知識・経験が活きる人事領域でキャリアアップしたい」というスタンスで転職活動しないと、うまく転職できないと思います。
SEから人事への転職の仕方
本当は、社内異動で人事部に異動するのが、いちばん手っ取り早いのですが、収益を稼ぐ部門からバックオフィスへの異動になるので、やっぱり難しいと思います。
SEから人事にキャリアチェンジするなら、転職を考えるのが現実的です。
その際のポイントは次の2つです。
- 転職サイトではなく転職エージェントを使う
- ダイレクトリクルーティング(ビズリーチなど)も使う
①転職サイトではなく転職エージェントを使う
SEから人事への転職を目指す際には、転職サイトではなく、転職エージェントに登録してください。
転職サイトは、自分で求人案件を検索して応募するものです。
自分で「SE経験を求めている人事部がある会社」を探すことができますか?ということです。実際問題、難しいですし、時間ももったいないです。
転職エージェントは、企業が求めているスキルセットをエージェントがよく把握しているため、自分の経験やスキルに合った求人を見つけてくれます。
また、面接対策や履歴書の書き方、職務経歴書の作成など、転職活動全般にわたるサポートがあるので、SEから人事のようなキャリアチェンジを狙う時には、転職エージェントを使うようにしてください。
おすすめの転職エージェント:
- リクルートエージェント:大手であり、多くの求人情報を持っています。
- マイナビエージェント:IT業界に強いエージェントで、SEからのキャリアチェンジにも適しています。
- doda:多岐にわたる業界の求人を取り扱い、サポート体制も充実しています。
②ダイレクトリクルーティングも使う
ダイレクトリクルーティングは、企業が人材仲介を介さずに、直接応募者を探す方法です。
この方法も、SEから人事への転職を目指す際に有効です。
要は、SE経験者で人事職を希望している人を、企業が探し出そうとしてくれているので、スカウトが届いたら、かなり高い確率で転職ができます。
この方法を使う場合、職務経歴書にきちんと自分のスキルやキャリア志向を文章で表現することが必要です。企業の検索に引っかかる必要があるからです。
自分のスキルや経験、成果を詳細に記載してください。特に、SEとしての経験をどのように人事業務に活かせるかを強調しましょう。
おすすめのダイレクトリクルーティング:
- ビズリーチ:大手であり、多くの求人情報を持っています。
- リクルートダイレクトスカウト:リクルートが提供するハイクラス向けダイレクトリクルーティングサービス。
まとめ
SEから人事への転職は、スキルセットの違いから難しいと思われがちですが、実際には多くの企業がSEの経験を活かせる人事人材を求めています。
SEとして培ったIT知識やデータ分析スキルは、人事部門での業務効率化や戦略立案において大いに役立ちます。例えば、労務管理や人材配置、給与計算のシステム最適化、データ分析による人材戦略の立案など、多くの分野で活躍の場があります。
転職活動においては、転職サイトではなく、転職エージェントを活用することが重要です。エージェントは企業のニーズを的確に把握しており、適切な求人を紹介してくれるため、効率的な転職活動が可能です。また、ダイレクトリクルーティングを利用することで、企業から直接スカウトを受け、効率的に転職を進めることもできます。
SEとしての経験をしっかりとアピールし、転職エージェントやダイレクトリクルーティングを効果的に利用することで、人事部門へのスムーズなキャリアチェンジが実現できます。新たな職場での成功を目指して、ぜひ今回紹介したポイントを参考にしてください。