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SESの給料が上がらない!その理由と年収を上げるための戦略 

SES(客先常駐のSE)として働いている多くの人が、給料がなかなか上がらないという問題に直面しています。

SESは顧客先に常駐してシステム開発や運用保守を行う仕事ですが、その特性から給料が上がりにくいと感じる人が少なくありません。

この記事では、SESの給料が上がらない理由を明らかにし、その解決策や年収を上げるための具体的な戦略について解説します。

トモハル

金融機関の社内SEとしてSESの方と一緒に働いてきた経験と、上場企業3社での人事経験から、年収の上げ方を解説していきます。

本記事の目的は、SESとして働く皆さんが直面している給料の問題に対して、具体的な解決策を提供することです。

SESの給料が上がらない原因を理解し、自分自身のキャリアをどのように改善していくかを考えるきっかけにしていただければと思います。また、転職を考えている方や、給与アップを目指している方にも役立つ情報をお届けします。

SESの給料の限界

SESとして働くエンジニアの多くが、給料がなかなか上がらないと感じています。

突き詰めると、SES企業がマージン(手数料)を差し引いた残りがエンジニアの給与になる、という産業構造に行き着きます。

もう、色んなところでこれは言われていることなので、うんざりかもしれませんが、原因は、これしかないんですよね。

エンジニアの報酬は顧客からの契約単価によって決まり、しかも、この契約単価は必ずしも高くなく、さらにSES企業がマージン(手数料)を差し引いた残りがエンジニアの給与となります。

SES企業がマージンを減らすことは基本的にないですし、契約単価が上がったとしても、その上がった契約単価がそのまま社員に還元されるわけではなく、一部しか社員に還元されないんですよね。

なので、SESのエンジニアの平均年収は、一般的に他のIT職種よりも低めです。

一般的には、SESの年収は、400~500万円と言われていますが、勤続年数別に整理すると、下記の金額が中央値になります。

  • 1~3年目:年収300万円~400万円
    • エントリーレベルのSESエンジニアの年収は比較的低く、スキルや経験の蓄積が必要です。
  • 4~6年目:年収400万円~500万円
    • 経験を積むにつれて給与は上がりますが、他のIT職種と比べるとまだ低い水準です。
  • 7~10年目:年収500万円~600万円
    • 長期間勤続することで給与は上がりますが、他職種と比べると依然として低めです。
  • 11年目以降:年収600万円~
    • 管理職や特定の専門分野で評価される場合、給与はさらに上がることもありますが、全体的な給与水準は限定的です。

もちろん、世の中には例外もあるので、800万円の水準に到達する方もいますが、かなりレアだと思います。

給料を上げるための戦略

SESとして働いているあなたが、これから年収を上げていくには、主に次の4つの選択肢があります。

  1. 今の会社でスキルアップして年収アップを目指す
  2. より処遇の良いSESの会社に転職する
  3. フリーランスになる
  4. 事業会社のSE(いわゆる社内SE)に転職する
  5. まったく別の職業に転職する

① 今の会社でスキルアップして年収アップを目指す

これって、実現可能性が低いというか、満足のいく年収に行き着くのはだいぶ時間かかると思います。

SESの業界では、単価アップが直接的に給料アップに繋がるわけではないことが多く、職能給的に少しずつしか給料が上がらない会社がほとんどなので。

たとえスキルアップして、何か資格を取得して、それが会社に十分に認められ、派遣単価のアップに繋がったとしても、その利益が自分の年収に反映されるのは難しいのが現実です。

いま働いている会社の先輩に、スキルアップや単価アップを通じて年収アップを実現した人がどれほどいますか?

② より処遇の良いSESの会社に転職する

SESとして年収を上げるために、今の会社から別のSES企業に転職するという選択肢もあります。

しかし、現実的には、同じ業界内での転職によって大幅な給与アップを期待するのは難しいです。なぜなら、日本においては、年収水準は、会社や業績ではなく、「業界」選びで決まるからです。

SES業界はその産業構造上、どの会社も似たようなビジネスモデルで運営されており、給与水準もほぼ横並びになっています。顧客先常駐型の派遣契約が主流であり、SES企業はクライアントから受け取る単価の一部をエンジニアに支払うという構造が基本です。このため、転職しても業界内での年収に大きな差は生じにくいのが実情です。

たとえば、現在の会社から別のSES企業に転職しても、派遣単価の上昇分が直接的に年収アップに繋がることは少なく、結果として、給料の伸びは限定的です。

③ フリーランスになる

ある程度、スキルに自身のあるSESなら、フリーランスとして働くことは、一度は頭をよぎったことがあると思います。

トモハル

実際にフリーランスとして活躍して、年収900万円を稼いでいる知人がいます。

SES企業に所属していると、企業がクライアントから受け取る単価の一部をマージンとして取られてしまいますが、フリーランスであればその分を全て自分の収入にすることができます。特に、需要の高い技術や専門知識を持っている場合、プロジェクト単位での高報酬を狙うことができます。

ただ、基本的には、いばらの道であることは覚悟しないといけないなと思います。

プロジェクトが途切れると収入がゼロになりますからね…これは、相当なプレッシャーだと思います。

また、フリーランスになると健康保険、厚生年金保険、介護保険といった社会保険の全額を自己負担する必要があります。通常、これらの保険料は会社と社員で半分ずつ負担していますが、フリーランスは全額を自分で支払わなければなりません。

つまり、額面の年収が増えるほどには、手取りは増えないということです。

また税務処理や契約管理など、すべてを自分で行う必要があります。これらをしっかりと管理できるだけの自己管理能力が求められます。

あと、どうしても社会的な信用力が落ちるので、クレジットカードの審査に通らなくなったり、住宅を購入しようとしても、ローンが通らない、というのは地味に痛いと思います。

④ 事業会社のSE(社内SE)に転職する

社内SEとして、自社のシステムやネットワークの運用・保守を担当する仕事は、SESエンジニアとして得た多様な技術スキルや問題解決能力が活かせます。

社内SEは、勤続年数が長くなれば、その分だけ、しっかり年収が上がっていくのが、良い点です。

あと、SESに比べれば、社内SEの方がワークライフバランスが安定するので、特に、女性の方には、SESから社内SEへの転職をオススメしています。

社内SEとして年収をアップさせるための重要なポイントは、年収水準が高い業界の社内SEを選ぶことです。これに尽きます。

以下の業界は、割と高い年収水準ですね。

  1. 金融業界:
    • 特徴: セキュリティやデータ管理の重要性が高く、専門知識が求められます。
    • 給与水準: 金融業界は、システムの安定運用とセキュリティ対策が重要であり、その分、高い給与が支払われることが多いです。
  2. 医療業界:
    • 特徴: デジタルヘルスの成長に伴い、ITインフラの整備が進んでいます。
    • 給与水準: 医療機関や医療関連企業は、技術的なスキルと医療知識を持つ社内SEに対して高い報酬を提供する傾向があります。
  3. 半導体業界:
    • 特徴: 技術革新が進む中で、高度な技術スキルと専門知識が必要です。
    • 給与水準: 半導体業界全体で高い給与が期待でき、職種に関係なく高い給与テーブルが適用されます。

あと、年収アップを狙うなら、きちんとした転職エージェントに登録してください。

転職エージェントは各社の「この年齢だったら、これくらいの年収テーブルだな」という社内データを蓄積しており、自分のスキルと年齢に応じた適切な年収の目安を提供してくれます。

自分の年齢とスキルでどれくらいの年収になるのかを知るためには、まず転職エージェントに登録してキャリア面談を受けるしか方法がないです。

⑤ まったく別の職業に転職する

20代であれば、全く別の職業に転職する、というのも選択肢ではあります。

ただ、SESを仕事として選んだ理由が、「営業は無理」「事務は単調そうで嫌」という消去法的に選んだ方については、全く別の職業に転職するのは、あまりオススメしません。

新しい仕事で成果を出して、年収を上げるのって、思った以上に大変なので、マインドというか、覚悟が必要なんですよね。

ほとんどのSESの方には、まずは④の社内SEへの転職が現実的だと思います。

ただ、まだ20代前半でSEに向いていないと感じているなら、第2新卒として転職エージェントに相談するのもありだと思います。

企業側が第2新卒で応募してくる人に期待しているのは、スキルではなくポテンシャルだからです。

採用担当者も、「IT専門職を志向したものの、適性がないので、キャリアチェンジします。」という経緯については、まったく問題ないと理解してくれます。

第2新卒での転職は、第2新卒向けの転職支援に強みを持つエージェントを選んでください。

まとめ

この記事では、SES(客先常駐のSE)の給料が上がりにくい理由と、その解決策について説明してきました

SESが年収を上げるには、次の5つの選択肢がありますが、現実的には「④事業会社のSE(社内SE)に転職する」が多くの方にとって検討に値する選択肢だと思います。

  1. 今の会社でスキルアップして年収アップを目指す
  2. より処遇の良いSESの会社に転職する
  3. フリーランスになる
  4. 事業会社のSE(社内SE)に転職する
  5. まったく別の職業に転職する

社内SEは安定した給与と福利厚生を提供し、キャリアパスも多様で、長期的な年収水準の上昇が期待できるからです。

やっぱり、年収アップは正義だと思います。

やりがいも大事ですが、SESとして年収を上げることは限界があるので、一度、社内SEへの転職を考えてみてはいかがでしょうか。