SES(客先常駐)という職種から転職を考えている場合、目安として1年以上の経験があれば、転職はできると思います。
IT業界は慢性的なエンジニア不足に悩まされているので。
特に、20代の若手であれば、社内SE(インハウスSE)への転職だけでなく、異業種へのキャリアチェンジも可能だと思います。
実際に、3社の上場企業の人事部で採用をしてきましたが、SES(客先常駐)経験者を中途採用してきました。単にSESの社歴が短い、という理由で落としたことはないです。
1年のSES経験があれば転職はいける
冒頭にもお伝えしたとおり、SES(客先常駐)としての経験が1年あれば、転職は問題なくできると思います。
その「1年」というのも、「ある程度のストレス耐性があるんだな」と思うから、という理由だけです。
1年以上のSESの経験があれば、プロジェクトのプレッシャーやクライアントの要求に対処する能力があるかな、と判断しています。
また、数年の短いSES経験でも、採用担当としては、「大変な環境だったんだね」と理解することが多いです。逆に、いわゆる「修羅場経験」をどう乗り越えたかを語ることができれば、転職活動において大きな強みとなります。
IT業界全体でエンジニア不足は続いているので、経験豊富なエンジニアだけでなく、比較的短い職歴のエンジニアも積極的に採用しています。
特に、若手エンジニアは将来の成長を見越して投資する価値があると見なされるため、1年の職歴でも転職は普通にできます。
SESからの転職理由は、深く練らなくても大丈夫。
SESからの転職希望者の方からよく受ける質問が、「SESからの転職理由をどう伝えたらいいですか?」ということ。
ただ、採用担当としては、この部分で合否を判定することってそんなにないです。
SESが過酷な労働環境だっていうのは知っているので。
そうは言っても、面接でどう伝えるか?というのは悩みどころだと思うので、回答例を載せておきます。
1. キャリアアップのため
いちばん無難なのは、SESからのキャリアアップ。
SESは、プロジェクト単位での業務となり、様々な企業や環境で経験を積むことができます。一方、特定のスキルや専門性を深める機会が限られていることが多いため、「より専門性の高いポジションや役割」を求めて転職したい、というのは、説得力があります。
例: 「私はSESとして複数のプロジェクトに参加してきましたが、特定の分野で専門性を深めたいと考えています。例えば、クラウドコンピューティングのエキスパートになりたいと思っています。そのために、クラウド技術を専門とする企業に転職を検討しています。」
2. スキルの限界を感じる
SESでは、幅広いスキルを求められる反面、特定のスキルや技術に特化する時間が少ないことがあります。
結果として、自己成長の機会が限られ、自分のスキルが停滞していると感じることがあります。そのため、スキルアップや専門知識を深めるために、より専門的な環境を求めて転職を考えたい、というのも説得力があります。
例: 「現在の職場では、様々な技術に触れる機会が多いですが、深く学ぶ時間が取れません。私はデータベース管理の専門家になりたいので、この分野に特化した企業への転職を考えています。」
3. 働き方や労働環境の改善を求めて
正直なところ、SESという働き方に限界を感じる、というパターンが多いとは思います。
客先常駐という働き方は、プロジェクトごとに勤務先や勤務時間が変わることが多く、また、クライアントの要望に応えるために長時間労働や急なスケジュール変更が求められることも少なくありません。
採用担当も、そんなことは分かっているので、ある程度、正直に話して大丈夫です。
例: 「私は現在、客先常駐の形で働いており、プロジェクトごとに勤務先が変わるため、安定した生活リズムが築けません。家族との時間を大切にしたいので、より安定した環境を提供してくれる企業に転職したいと考えています。」
4. より高い収入を目指して
SESの年収水準がIT業界の中では、そんなに高くないことも、採用担当は知っています。
正直に、年収水準を上げることを考えていることを伝えることは、問題ないです。
例: 「現在の職場では、プロジェクトの稼働状況次第で給与が変動するため、安定した収入を得るのが難しいと感じています。より高い収入を目指して、IT業界内での他の職種や、異業種への転職を検討しています。」
SESからのおすすめ転職先
SESエンジニアとしての経験を活かしながら、20代の若手にとってキャリアアップやキャリアチェンジを考える場合におすすめの転職先は、次のとおりです。
1. 社内SE(インハウスSE)
SESからの転職先として、もっとも最初に検討すべきは社内SEだと思います。
自社のシステムやネットワークの運用・保守を担当する仕事は、SESエンジニアとして得た多様な技術スキルや問題解決能力が活かせると思います。
転職するメリット:
- 安定した労働環境:勤務先が一定であり、働く場所や時間の変動が少ない。
- キャリアパスの明確さ:社内のシステムに深く関わることで、専門性を高めることができる。
- ワークライフバランスの向上:プロジェクトごとの急なスケジュール変更が少ないため、プライベートの時間が確保しやすい。
志望理由の例: 「私はSESとして様々な企業でのシステム運用を経験してきましたが、一つの企業で長期的にシステムを改善していく仕事に魅力を感じています。そのため、社内SEとして安定した環境でキャリアを積んでいきたいと考えています。」
2. Web系企業
Web系企業では、最新の技術を活用しながらスピーディにプロジェクトを進めることが求められます。SESで培った迅速な対応力や広範な技術知識が活かせる場面が多いです。
転職するメリット:
- 成長機会が豊富:新しい技術やトレンドに触れる機会が多く、スキルアップが期待できる。
- イノベーションの文化:自由な発想と創造性を重視する企業文化が多い。
- 高い収入:特にスキルや経験が評価されやすく、報酬が高い傾向がある。
志望理由の例: 「私はSESとしての経験を通じて、多くの技術に触れる機会がありました。これを活かして、Web系企業で新しい技術やトレンドに挑戦し、さらに成長していきたいと考えています。」
3. まったくの別業界
20代であれば、SEではない仕事にキャリアチェンジすることもアリです。
詳しくは、下記の記事に書きましたので、ぜひご一読ください。
短い職歴でも転職するには
SESとしての職歴が短くて転職できるかな?と悩んでいるなら、手っ取り早いのは、転職エージェントに登録して、キャリアアドバイザーに相談することだと思います。
独力で、自己分析や市場調査を行うのは時間の無駄かな、と思います。
彼らは「この年齢で、こういう職歴・スキルセットなら、こういう職務経歴書を作れば、このあたりに転職できる!」というのを考えるプロです。
(転職を成功させることで稼ぐビジネスモデルなので、当然なのですが)
「SES経験が短いが、転職を希望している人」というのは、山ほどいるので、彼らも対応には慣れています。
もちろん、キャリアアドバイザーの言うことを鵜呑みにするのは良くないのですが、自分一人でスキルセットの棚卸し、求人の検索、職務経歴書の作成をするのは、時間がもったいないです。
あと、正直、転職は少しでも若い方が有利なので、決めたら短期決戦で活動する方が良いです。
まとめ
SESエンジニアとしての経験が1年しかなくても、転職は十分に可能です。
IT業界のエンジニア不足の現状や、若手エンジニアの柔軟性と学習意欲を活かすことで、転職先は見つかりやすくなります。特に20代の若手エンジニアにとって、社内SEやWeb系企業、フリーランスとしてのキャリア、さらには異業種への転職など、多くの選択肢があります。
転職活動を成功させるためには、早めに転職サイトや転職エージェントに登録し、専門家のサポートを受けながら効率的に進めることが重要です。
自己分析や市場調査をエージェントと協力して行い、短い職歴でもアピールできるポイントを強調した履歴書や職務経歴書を作成しましょう。面接対策も万全にし、短期決戦で転職活動を進めることが、若い年齢を活かす鍵となります。
短い職歴でも、修羅場経験や問題解決能力を語ることで、採用担当者に自信を持ってアピールできます。エージェントのサポートを活用し、自分の強みを最大限に発揮して、理想の転職先を見つけてください。成功する転職活動を通じて、新しいキャリアの一歩を踏み出しましょう。
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