この記事では「社内SEの転職の際、学歴や学部は採用にどれくらい影響するの?」という疑問に、人事の立場から回答していきます。
私は社内SEを5年経験した後に上場企業3社で人事を15年以上経験しています。私の意見が、「すべての採用に当てはまる。」とは言いませんが、9割以上の会社では当てはまると思うので、これまでの経験から知見をまとめたいと思います。
正直、「学歴がまったく見られない」と言い切るのは嘘になりますし、採用担当者や事業部門の責任者によって好みがあるのも事実です。
しかし、中途採用では学歴よりも「年齢とスキルセット・経験」を見ます。職務経歴書の記載内容が募集ポジションにマッチしているかが大事で、書類選考が通過できた場合、学歴はほぼ関係なくなる、というのが結論です。
あまり学歴に自信がない方でも、社内SEの中途採用でチャンスを掴むポイントもお伝えしていきます。
中途採用は新卒に比べて学歴の重みが減る
採用を担当する人事の立場からすると、新卒に比べて経験者採用では学歴が採否の判断材料にはなりづらいです。これは、よく言われることですが、私の経験上も間違いなくそう思います。
「新卒ではこの学歴だと厳しいな…」と言う人を中途で採用することはよくあります。これは、社内SEの経験者採用でも完全に当てはまります。
新卒だと学歴+コミュニケーション能力が採否の判断になるので、どうしても学歴の比重が高くなってしまうんですよね。あと、新卒一括採用というシステムの中で選考をするので「学歴で足切り」をしないと、採用オペレーションが回らないのも事実です。よく言われることですが。
中途採用の場合は、応募者の「年齢、スキルセット、経験」が合うかを一人ひとり採用担当が判断するので、いわゆる学歴フィルターが発動しないんですよね。ここが新卒といちばん違うところです。
実際、書類選考が通過できた時点で、学歴はほとんど影響しません。なぜなら、面接に進むということは、その段階で企業側は候補者をスキルや経験で評価しているからです。(わざわざ面接の時間を割くので、学歴で足切りするくらいなら会わないです)
学歴に自信がなくてもスキルと経験が募集ポジションにマッチしていれば、スルッと合格することはけっこうあります。
職務経歴書を磨き上げる
では、学歴・学部的にあまり自信がない場合にどうするか?
それは、職務経歴書を徹底的に磨き上げることです。(というか、学歴に自信があっても職務経歴書は磨き上げるべきなのですが)
職務経歴書を磨き上げるポイントは次の3つです。
- 社内SEの求人を多く読み、ワードを集める
- 年齢に見合った経験を盛り込む
①社内SEの求人を多く読み、ワードを集める
まず、職務経歴書を書く前にやるべきのは、希望する業界の社内SEの募集要項を多く読み、募集要項に書かれているワードを集める作業です。
たとえば、こんな募集要項があったとして、自分が当てはまる部分をそのまま職務経歴書に記載しましょう。
・開発基盤の検討、設計、構築
・全社横断で活用可能なIoTプラットフォームの開発
・医用・バイオ事業に関わるデジタルソリューションソフトウェア開発(血液自動分析装置など)
・導体計測・検査装置のデータを用いたAI・画像処理・データ解析アプリケーションや、ソリューションシステムの、要件定義、基本設計、評価、改良設計、実装(一部外注・ベンダーコントロール)
・ソフトウェア・ソリューションサービス開発におけるプロセス策定、検査、改善、支援業務
・組織全体へのアジャイル開発手法の浸透、ナレッジの展開、推進
・データソリューションサービスに関する新規事業開発、ビジネスデザイン
人事歴15年以上で500名以上の職務経歴書を読んできていますが、体感的にこの作業をしていない応募者が8割以上だと思います。「自社の中で使われている表現を使っているんだろうな」という表現が多いです。
いくつか転職エージェントに登録して、社内SEの求人を見て共通する表現を自分のメモ(Excelなど)にコピーしましょう。採用担当者も応募を多く集めたいので、他社の求人情報から表現をコピーしてくることが多いです。自社なりの表現だと求職者に伝わらないのでは…と心配になるからです。
なので、社内SEの求人に書かれている項目は、割と似通っているんですよね。それをしっかり自分の職務経歴書に反映させましょう。
この作業をするだけで上位2割に入れます。地味な作業ですが、非常にオススメです。
②年齢に見合った経験を盛り込む
社内SEの中途採用は、「年齢に見合ったスキルセット・経験があるか」で採否がほぼ決まります。
正直、中途採用ではまず年齢を見ます。労働基準法により、求人募集・採用時の年齢制限は原則NGなのですが、実際問題、年齢は見ます。
少し話はそれますが、求職者側は「このポジションは何歳くらいを想定しているのか」というのが見えないんですよね。だから、ある程度はエントリー数が必要になるんです。
社内SEは年齢によって求められる役割や責任が異なります。30代後半以降の候補者には、より高いマネジメントスキルやリーダーシップが期待されることが多いのは当然のことです。
また、技術的なスキルだけでなく、ビジネスにどのように貢献してきたかを示すことも重要です。企業が社内SEに求めているのは、ただの技術者ではなく、ビジネスを理解し、社内のプロジェクトや業務を効率的に進めることができる人材だからです。
自分の職務経歴書が年齢に見合ったものになっているかは、転職エージェントのアドバイザーに確認してもらうのが、いちばん手っ取り早いです。
アドバイザーは、応募者の転職を成功させて初めて成果報酬がもらえることから、職務経歴書のアドバイスも真剣にしてくれます。
私自身も、過去に転職したときにはエージェントに職務経歴書を確認してもらいました。(人事と言えども、自分の職務経歴書を第三者に確認してもらうことで、ブラッシュアップできるからです)
社内SEでオススメの転職エージェント
下記の記事にオススメエージェントをまとめました。実際に上場企業で人事をしていて使っているエージェントです。
基本的には、おすすめ10社の中から3つくらいに登録すれば十分だと思います。